アンリミテッド：サガ　オリジナルサウンドトラック

DISC １

※付属ブックレットの曲目リストでは、M4とM5の曲名が逆になっています。

DISC ２

「アンリミテッド：サガ序曲」「Ｍａｒｃｈ in C」「フィナーレ」　オーケストレーション：浜口史郎

解説内の（カッコ）は、そのメインシナリオが登場する主人公を表しています。
ロ…ローラ、ル…ルビィ、ジ…ジュディ、ア…アーミック、ヴ…ヴェント、キ…キャッシュ、マ…マイス

お薦め度：★★★★
　「アンリミテッド：サガ」（2002年12月19日発売）のサウンドトラックです。
作曲は前作サガフロ２にひきつづき浜渦正志氏です。
今作はスクウェア初となるオールストリーミングによる作品で、また生演奏を多用し、効果的に用いています。
さらにFFX-2でも一部でしか対応していない「ドルビープロロジックII」にフル対応しており、音質の面では言うことはありません。
（Disc1のM28〜32は対応していません）　プロロジックII対応機器をお持ちの方は、ぜひともそれを介して聴いてみてください。

　最初のインパクトという点においては、「サガフロ2」に負けるかもしれませんが、
聴くたびにその良さを実感でき、また良さが増していく、そんなサウンドトラックです。
やはり特異な移動画面を考慮してのことなのか、前作よりも控えめに、BGMとしてのサウンド作りを
重視しているように感じられます。（特にDisc2の「DG」シリーズはそれが顕著です）
だからと言って魅力が失われるようなことはなく、じっくり腰を据えて聴くことの出来るクオリティーの高い
仕上がりになっています。
　バトル曲は16曲で、サガフロ１の12曲を上回ります。ボス戦用の曲が多くなっています。
　浜渦作品のお楽しみの一つであるピアノは、メインで出てくることは少ないのですが、要所要所で
サポートしており、やはりその使い方の上手さを堪能出来ます。

　Disc1にはお馴染みの浜渦サウンドが集まっています。ソフトなタッチの優しい曲が多く、
クラシカルな雰囲気を残しつつも、前作よりもポップさを増したようにも感じられ、より親しみやすい
サウンドになったのではないでしょうか。今作ではラテン音楽も意識して制作されていることも
影響したのでしょう。これらの曲から共通して感じられるのは、「純粋さ」というイメージです。
汚したくない、という清楚な面、さらに子供のころに帰ったような童心、そういったピュアなものが
つまっている、というのは大袈裟かもしれませんが、そのような雰囲気があります。
　ロマサガ1,3のように、キャラクターテーマは街などでよく耳にすることになります。
ヴェントなどは意外な面もありますが、それぞれの特色を捉えたものになっています。

　一方Disc2は、ほとんどがDGとBTシリーズで、コンセプトは同じながらDisc1とは雰囲気が
異なるものになっています。DGシリーズは、上にも書きましたがBGMとしてのサウンドを追求した
作りであるように思われます。どれもその主張は控えめで淡々としたものですが、そこに作り出される
雰囲気はどれも心地よく、長時間聞いても嫌にならないものばかりです。
　BTシリーズは多種多彩。知識の浅い私にとっては何のジャンルかよくわからないような
個性的な曲が並んでいます。従来のファンタジーRPGのバトル曲とはまた違ったサウンドを構築しており
激しいロック系のサウンドでなくとも、バトル曲として勝負できるということを、前作に続いて示してくれています。
クラシカルな曲の多かった浜渦氏の新たな一面を見ることが出来る、という楽しみもあります。

　また、今作では、サガシリーズ初となるヴォーカル曲を収録しています。（聞く条件はなかなか厳しいですが･･･）
歌うのは柏原美緒さん。FF10、11や、2002年のFFのオーケストラコンサートの合唱に参加されている方です。
声楽科らしい張りのある高い歌声は、浜渦サウンドやアン：サガのイメージとよくマッチします。
曲はミディアムバラードで、テンポが良いです。編曲もすばらしく、弦楽器とピアノを中心に
美しい世界観を創りあげています。

　初回限定はキャラクターアートレーベル仕様となっています。
ブックレットには恒例のイラスト集（キャラデザの直良氏のもの）が収められています。
またライナーノーツの代わりに、浜渦氏とミュージックプログラミングとシンセサイザーを担当された
山崎良氏による対談が収録されています。

[Impression]
1-01：アンリミテッド:サガ序曲
　　インパクトのあるイントロ、ソフトな前半、勢いのある後半に分けることが出来ます。この作品のテーマとも言える
　メロディが2通りのアレンジ、そのどちらにもハマっており、構成的にも上手くいっています。
　やはり弦楽器の存在感が大きく、主旋律を支えています。「序曲」にふさわしい曲です。

1-02：旅の七人
　　「序曲」をベースに、弦楽器とピアノで丁寧にアレンジしています。こちらは落ち着いていて
　じっくりと聴くことが出来ます。音色がとても美しく、安らぎを与えてくれる一曲です。

1-06：バトルテーマI
　　この作品のバトル曲の中でも、オーソドックなタイプに属するバトル曲です。「序曲」をモチーフとした
　切れのあるメロディーが、とがった(?)音色の生演奏のヴァイオリンと合わさって、良いムードを作り出しています。
　メロディーがヴァイオリンだけにバトル曲でありながら、上品な雰囲気が残るのもいいですね。浜渦氏らしい
　バックのピアノのサポートも見逃せません。

1-10：キャッシュのテーマ
　　キャライラストだけ見ると、この爽やかさとそのイメージとがあまり一致しないのですが(笑)、実際のキャッシュさんは
　この曲どおりの優しい方のようですね。その優しさ、純粋さが感じられる非常に綺麗な一曲です。
　ふと立ち止まってじっくり聴いてしまうような魅力のある曲です。

1-17：ローラのテーマ
　　ふわりとした繊細なメロディーが、とても穏やかですが、複雑な境遇のローラらしく哀愁もやや感じられます。
　それが大きくなって後半の壮大なパートへと変化します。この繋がりがとてもナチュラルで良いです。

1-22：ほっとする瞬間
　　短い曲ですが、曲名通りホッとする曲です。優しくささやきかけるような品のあるメロディー、
　シンプルでありながらしっかりとメロディーを包み込むアレンジ、そのいずれもクオリティーが高いです。

2-01：時空の旅
　　流れるようなピアノの音が、ミステリアスさを含んだ神秘的な雰囲気を醸し出しています。また空間的な
　広さをも感じさせてくれる一曲です。浜渦氏のピアノの使い方の上手さ、そして新たなるピアノの世界を
　体験出来ます。BGMとしての資質が高い曲です。

2-03：バトルテーマEX
　　「バトルテーマI」と共に一推しのバトル曲です。この曲を表現する言葉として、美しいがまず頭に浮かびました。
　ヴァイオリンのメロディーの奥深さ、そしてその音の広がりが与えるインパクトがとても大きいです。
　この力強さと美しさを兼ね備えたメロディー、そして曲全体の雰囲気は浜渦氏にしか出来ないでしょうね。
　編曲の上手さをあわせて指摘したいです。

[ピアノ譜]　アンリミテッド：サガ　オリジナル・サウンドトラック　（ドレミ楽譜出版社）　2,200円

[Special Thanks]　レイン様　情報提供ありがとうございました

このCDの投稿レビュー

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